世界中が新型コロナウイルス感染症の流行に覆い尽くされた昨年、年が明けてもその猛威は治まるどころか、ますます拡大の一途を辿っています。
そのことにより、生活のあらゆる場面で大きな影響を受けました。
例年ならば、実家に帰られたり、カウントダウンイベントで盛り上がられている方も、今年はステイホームで新年を迎えた方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちの生活は、そこにいる人の数だけ多様な毎日を積み重ねています。
当たり前の日常を過ごしているだけなのに、社会から受ける有形無形の圧力を感じて息苦しくなることもあるかもしれません。
この状況は、「世界中の人が障害者になった」とも言えます。
障害とは社会の中にある生きづらさ、今の社会に生きづらさを感じているあなたは、ある意味で障害者なのです。
その生きづらさを解消するために、大切な自助具としてマスクを着用します。
障害のある人が車イスや白杖を使うように、生きづらい社会を生きるための大切な自助具です。
数多くの店舗や公共機関の出入口に設置された消毒液や検温設備は、誰もが安心して社会参加するためのユニバーサルデザインです。
収入が途絶えた個人や事業者に様々な給付金や貸付制度が創設されましたが、公的扶助、社会保障としての支援が行われているわけで、全ての人に十分に行き渡らないところまで含めて障害のある人がこれまで置かれてきた状況に類似しています。
では、障害者の生活は変わっていないのか、もちろんそうではありません。
新たな生きづらさを付加された形で毎日を暮らしているという意味では、さらに苦しい状況を強いられている人もいます。
しかし、混沌とした社会の中で、その状況把握すら困難な状況です。
昨年、全国で動作法を受けている障害当事者や保護者へ行った2回のアンケートだけでも、変わってしまった日常に戸惑いながら生きている様子が分かりました。
今、困っているのは、以前からの障害者だけではありません。
身近な人のことを思いやり、助け合いながらこの難局を乗り越えましょう。
早く穏やかな日常が戻ってくることを信じましょう。
でも、日常が戻った時、多くの人が障害者ではなくなった時、制限された生活の苦しさや、公的支援や個人の繋がりがどんなに安心をもたらすかは忘れないで下さい。
今は一人ひとりにとっては大切な生活が止まっていることもあるかもしれませんが、不急ではあっても誰かに不要と決めつけられるような生活はどこにもありません。
障害のある人のみならず、あらゆる生きづらさを感じている人が自分らしく生きられるよう、支え合いましょう。
私たちは当たり前の日常を大切に、不要ではない必要なことを大切に、でも不急なことはグッと我慢して、コロナ禍を乗り切っていきたいと思います。
世界中の人と笑顔で触れあえる社会を願って、そして皆さまにとって良い年になるよう願っています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。